西村まゆみ制作過程
H26年12月9日(十三日目)
・第1図は、前回の最終状況、第2図は今日の最終状況。今日は頭の形を再確認して、向かって右側を少し削る。向かって右側の明るい顔部分をさらに明るくして絵に強さをましていく。このあたりから「まとめの方向」を意識していく。まず、豊齢線は茶系統の色味でなく、普通の赤より、少しドギツイ色を置いてみる。これは、血が通っていて透け介具合で赤く感じる。肌の透け具合を考慮して、ここでも透ける赤を持ってくるのである。この赤で目の上のところ、目の中にも、同時進行で赤を使う。黄色と赤の継ぎ目のところを充分馴染ませる。豊齢線は出来れば、老けて見えるのであまり入れたくない。
・右側の顔部分に光の感じを強くしていく。肌色にかなり白い系の色でせめていく。黄色いところよりも大きく。溶け込ましていく。白と黄色で徐々にコーティングするイメージ。彩度を求めていく。白を光の当たっているところに所々に置く。強めのハイライトを入れ、周辺部分も明度、彩度を上げていく。この作業を幾度か繰り返し、徐々に強くしていく。土台そのものが崩れないようにコーティングしていくという作業が大切。一気に強めることはしない、あくまで徐々に。
・鼻筋の明るい部分と暗い部分の境界にちょっとだけ、黄色の色を点々と置いていき、潰れないようにまとめていく。薄い皮の奥にある、血流を意識しながら、絵が息出来るような肌になるよう描いていく。光による右側の顔をスフマートで描く。ベタ塗りは駄目、綿を意識して、細分化した面描くがごとく塗っていく。その綿を和らげていく。
・鼻の下部分はその置くにある歯が透けて見えるイメージで少し赤より白っぽい感じが良い。この時点ではさするような感じで微調整しながらコーティングしていく。
・顎には皮下脂肪がない。青っぽくなっているが、黄色を入れていくと、血色がよくなる。ここで、赤い色味がつくと、ホッペの赤が相対的に沈んでくる。再度、これを強くしていく。このとき、一様にならないように注意すること。
・髪の毛に光が当たっていることを描きにかかる。画像では、消され残っていないが、1本1本描くようにという指示で、向かって右側の前髪を特に赤色系で描き、他の細筆でその間に黒色が見えるよう、また立方向に黒に溶け込んでいくところは比較的太目の筆でふわっと消えていくような描きこみを丹念におこなった。この段階で注意されたのは、光の飛躍がないということ。つまり一様な単純な赤色の線が平行に引かれているのみ。資料を見ると、赤色の中に光に近い部分数本がもっと黄色ぽいということ。それで、また、細筆でその光のあたっているとこころに飛躍をこめて光らした。
・結果として、言われたとおりのことは最小限出来てはいるが、まだ不自然さが残る。1本1本描くことを、ほっと?忘れて、光っているところ、暗くなっているところの波があるはず。それを、まず捉えるべきであろう。大降りに整えることをまず、するべし。その上に、派手な色で毛を描きお越し整えること。
※この絵を見て、どう感じるか?工夫を自らが考えてやっていくことを特に注意すること。
・黒の上に赤だと緑色に見える。見ずに描いたようで面白くない。筆の原を使う手法もある。筆の突先を使う技法もあり、両方の利用が望ましい。それを見分けられるだけの眼が必要。パターンを知る。描き方ではなく、意味のパターン。
・大きく捉えておく。飛躍とは、明るい中の暗さ、暗いところの中の明るさを描くこと。
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