薔薇制作過程
H26年1月9日(八日目)
・前回の作品状態が第1図写真、第2図写真の通りである。今日はまず、背景の空間を描出することにする。第2図から第3図で右側半分の背景を描きたところ。写真では、この作業により良くなったのかどうかが今一わからない。見方によっては第2図写真のバックの方が良いのではないかと見えてくる。肉眼で見て異なるのは、色目、画面の絵具の載せ方が繊細になったというところ。私がやるとどうも空間に物体感を描くようなことをしてしまい、主題である花の良さを無くすようなことになってしまいがちなことである。上手い方の描くのを観察していると、花の境界から描かず、明るい色を離れ小島のように絵具を置き、それから周辺のいろと馴染ましていくという手法をとっている。
このことについてのメモは@色は思っているより、明るめに塗ること。Aバックの空間の出し方としては全部、塗りつぶすのは駄目、空気の逃げ道的な隙間をつくる。スペースを空けながら空間を描出する。Bバックについて、冷たい色、暖かい色など大まかな盛り上げ、組み立てを考え描くこと。Cかなり画面を混色で濁している上には、鮮やかな色を置き、筆圧を使い分けて(コントロールと言うべきか)、リアルタイムに変貌していくこと。画面全体をよく見ること。
・第2図から第3図写真で、描いているのはバックの他、右側の暗い部分の小さな花弁。花弁を描きながら、バックを明るめに塗る作業を同時進行で行う。あとはバックを惰性で筆を操り空間を生み出す。この時も、前に書いたように、輪郭に塗るのでなく、離れた空間の中から筆を進めること。第3図のバック中央部に花の色を置き、新しいきれいな筆でバックに馴染ます。あとは惰性でバックを整え、花を目立たせるようにすること。
・第4図から第5図で左側の背景に空間を感じさせるように描く。ここでは、先ほどと同じように、花と同じ色を花弁の近くに塗る。この時、左側花弁の色をさらに白を目立つように描く。これにより、バックに影響を与え、バックに置いた花と同じいろの明るさに落ち着きを持たせる。同時進行にバランス良く作業することで、絵に雰囲気をもたらすことが出来る。この時、当然、花弁とバックのしのぎ合いで花弁の形もとらえ直す。このようにギヤーチェンジ的な行程は作品を描く上で重要で、作品のレベルを一段階アップさせることになる。確かに、花弁の明るい色をバックに置いた瞬間は明るく、白すぎるよう見えるが、これを画面上で持たせることが必要なことである。花弁の白は、その上に少し花弁の色を重ねるなどの工夫も求められる。
・その白い花弁の上にある透き通った花弁について、背景の色を少し潰していくのが、良い方法である。その後に花弁の色を淡う置き、バックの色と馴染ませる。こうした繰り返しの作業が数多く求められる。
・第5図では、さらに左側の大きな花弁が光により、白く光っているように描きだす。私は、その後、花の上側の少しややこしいところを、その白を使い、光を追っていったが、結果としては残念なことに花がバキバキの感じにしてしまった感がある。こうすると、全体的に見渡し、右側の暗い部分で作っていた花の丸みを出す効果が無くなってしまう。このように、光を追い、花上部にハイライトを置くと暗部にも影響が出る。花の全体の瑞々しさだすには、まだ道のりは遠い。