絵を描くこと、とりわけ裸婦を描くことが日常のテーマとなっていて、このところ裸婦ばかり描き続けている。描き始めた頃は裸婦など難しくないと高をくくっていたが、実際に描いて見ると生命感の無いつまらないものとなり我ながらとても落胆し、己の力量を知ることで人物を描くことの難しさを知った。
その時から人を描くことに深い敬意と情熱を抱くようになった。単に形や質感を追い求めたところで真実を写したことにはならない。
人を写すということはその人が今まで歩んできた人生や、性格、現在の心情まで捉えていなければならないからだ。私は裸婦という形を一枚の紙に描いているが、結局、形を描いているのではなく一枚の絵を通じて、本当の美とは何かを追い求めているのである。私は今、美の入口に立ったばかりに過ぎない。
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