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有元利夫 「デッサン1」 水彩画6号サイズ


























   
 作家名  有元利夫 
 タイトル  デッサン1
 技法  水彩画。揉み紙のような風合いにした紙に朱に近いえんじ色を塗り、その上からペン・インク、コンテを
 使って描いてあります。
 サイズ  37.0×28.0cm
 額サイズ  64.5×55.5cm
 サイン  画面左下にサインと制作年(1979年制作)があります。
 額縁裏側に「ギャルリーユマニテ」によるシールが貼付してあります。  
 状態  揉み紙のような風合いにした紙に朱に近いえんじ色を塗り、その上からペン・インク、コンテを使って
 描いてあります
 画像でご覧のように、作品の裏側にも、ペンによる様々な人物像のスケッチがあります。
 作品の状態は良好。額縁マット所々に僅かな薄シミがみられます。
 ゴールドの専用額縁入り。額縁所々に僅かなスレ・アタリがみられますが、もちろんこのまま飾って
 楽しむことが出来ます。作品には全く問題ありません。段ボール製の保管箱が付いています。
 略歴


1946年 岡山県津山市(疎開先)に生まれる。有元家は美作菅氏の末裔。
1953年 台東区立谷中小学校入学。在学中から油彩を始める。
1962年 駒込高等学校入学。絵の道を志す。
1969年 4浪の後東京芸術大学美術学部デザイン科入学。後の夫人・渡辺容子と出会う。
    在学中に渡欧した際、イタリアのフレスコ画に強く感銘を受けフレスコ画と日本の仏画に共通点を
    見出し、岩絵具を用いることを決心する。
1972年 卒業制作「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」10点連作が大学買い上げとなる。結婚。
1973年 電通に就職。デザイナーとして菓子箱や雑誌広告などを手がけつつ個展開催。
1976年 退社。東京芸大の非常勤講師。
1977年 個展(大阪フォルム画廊)
1978年 『花降る日』で安井賞特別賞。
1981年 『室内楽』で安井賞。その後有元利夫は彌生画廊を中心として数々の作品を発表し多くの賞を受ける。
1983年 長男誕生。
1985年 2月24日、肝臓癌で没した。墓は長久院墓地(東京都台東区谷中6-2-16)にある。

イタリアルネッサンス期のジョット、ピエロ・デラ・フランチェスカや、日本の古仏、「平家納経」などを敬愛し、それら「古典」や「様式」のもつ力強さに惹かれ、影響を受けた。
生涯に制作したタブローは400点にみたない。それらは岩絵具や顔料を色材とし、アクリル、膠等の媒剤を用いて、ごく少数の例外を除きみなキャンバスに描かれている。
女神を思わせる人物像をモチーフとした作品がほとんどで、雲、花弁、トランプ、カーテン等をモチーフを彩る素材として好んだ。
タブロー以外では、塑像や木彫、版画等の制作に意欲を見せ、水性絵具による素描も残している。またバロック音楽を好み、自身でリコーダーの演奏もした。わずかだが作曲も試みている。

卒業制作ではピエロ・デッラ・フランチェスカらの作品を引用しつつ独自のスタイルを探る連作を出品し、作品は大学買い上げとなった。若くして安井賞を受賞し、画壇に華々しく迎えられたが独自のペースで制作を続け、作風にも表立って大きな変化はない。初期には額も自分で制作していた。絵画のほかに素朴な木彫やブロンズも制作した。2001年から翌年にかけて回顧展「花降る時の彼方に」が開催された。
代表作岩絵具を使い、風化を意識した絵肌を持たせた静寂感のある有元の美しい作風は今も多くの人々を魅了し続けている

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