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小松崎邦雄 「舞妓朱唇」 F20号











 リアリズムによる舞妓像で一世を風靡した小松崎邦雄の傑作です。本物と見紛う豪華絢爛な色彩の中 に、
華麗な出で立ちを表出させている点が小松崎邦雄による舞妓像の特徴です。本作でも、その端正な表情から、
高貴な気品とヒューマンな情感が漂っていま す。鮮明な色彩を伴う超リアリスティックな筆致は、モデルの
フォルムから衣装の質感、感情までも生き生きと描き出しています。それに対してシンプルな背景 は、人物の
存在感を明確にし、さらに着物や髪飾りに施された綿密な配色が女性美を理想的に引き立てています。
伝統的な題材を油彩画の様式と妥協のない仕事 によって完成させた逸品です。
作家評価:美術名鑑 20号=1,200万円 
繊細な写実で、独特な人形画から現代的な美人画までを手掛けた小松崎邦雄。1931年(昭和6年)東京都出身の
画伯は、'50年東京芸術大学に入学し、安 井曾太郎や林武に師事しました。同大学では、本学と専攻科で大橋賞
を受賞、修了した翌年の'57年から一水会展に出品を始め、'58年I賞、'60年会員 憂賞を受賞し、瞬く間に画壇で
頭角を表しました。'63年安井賞展で入選、'66年には文部省が作品買い上げ、30代にして画家として括弧たる地位
を築き ましたが、それに甘んじることなく海外に目を向けヨーロッパやアメリカに取材へ出掛け研鑽を重ねました。
'68年には一水会委員に就任しましたが、70年 頃からは個展を中心に作品を発表し、'82年東郷青児美術館展で
大賞、'91年宮本三郎記念賞を受賞しました。当初は風景画や人形をモティーフにした作品 を多く手掛け、やがて
異文化に触れるたびに作風は現実味を帯び、日本情緒を象徴するような美人画を描きました。'91年に惜しまれつつ
62年の生涯を閉じ ましたが、現在でも根強いコレクターに支持されています。
作品は、東京国立近代美術館、東京都美術館、愛知県美術館などに所蔵されています。




  
 作家名   小松崎邦雄
 タイトル   舞妓朱唇
 技法   キャンバスに油彩
 サイズ   F20号 
 額サイズ   97×83p
 サイン   右下にサイン 裏にタイトル・サイン・共シール
 状態   作品は良好。額縁は経年の感あり。 附帯品 :タトウ箱
 略歴


小松崎 邦雄 (こまつざき くにお)

1931年 東京都出身
1950年 東京芸術大学美術学部油画科入学
      安井會太郎、林武に師事
1954年 東京芸術大学美術学部油画科卒業
      安宅賞受賞
      大橋賞受賞
      一水会第16回展入選(東京都美術館)
1956年 東京芸術大学美術学部専攻科修了
      大橋賞受賞
1957年 一水会会員
1958年 一水会I賞受賞
1960年 一水会会員憂賞受賞
1963年 安井賞候補新人展入選(東京国立近代美術館)
      個展開催(第1回油絵個展)
1964年 個展開催(第2回油絵個展)
1966年 文部省が作品買い上げ
      取材旅行(ヨーロッパ)
1968年 一水会委員就任
      渡欧(ユネスコ・フェローショップ)
1969年 帰国(アメリカ、メキシコ経由)
      個展開催(第3、4油絵個展)
      昭和展昭和会賞受賞
      取材旅行(ヨーロッパ、アメリカ)
1970年 個展開催(第5、6回油絵個展)
1971年 取材旅行(ヨーロッパ)
1972年 個展開催(第7、8回絵画個展)
1973年 取材旅行(カナダ、アメリカ、中南米)
1975年 個展開催(第9、10、11回絵画個展)
1976年 個展開催(第12回個展)
      取材旅行(中国)
1977年 個展開催(第13、14回個展)
      紅霜展出品(日動画廊)
1978年 個展開催(第15回個展)
      取材旅行(インド)
1979年 明日への具象展実行委員就任
      第1回展出品(日本橋高島屋、以後1982年まで出品)
      第1回日本秀作美術展出品(日本橋高島屋、以後選抜出品)
1982年 東郷青児美術館展大賞受賞
1984年 挿絵制作(日本経済新聞連載)
1985年 NHKテレビ番組出演(同1988年)
1987年 個展開催(日本橋三越)
1990年 浦和市文化栄誉賞受賞
1991年 個展開催(日本橋三越)
      宮本三郎記念賞受賞
      記念展開催(日本橋三越)
1992年 没(享年61歳)

収蔵/東京国立近代美術館、東京都現代美術館、埼玉県立近代美術館、
愛知県美術館、彫刻の森美術館、東京芸術大学、他

 

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