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瓜南直子 「魚座」 F8号























 瓜南さんの作品の特徴は、何といってもその絵に込められた物語性にある。
 物語と絵が親和し、相乗し、不思議な神話的世界を現出させている。
 まるで平安期の絵物語が現代的な装いで再び現れたかのようだ。・・・
 〜「瓜南直子作品集 兎神国物語」に寄せた土方明司氏
 (平塚市美術館館長代理)のことば「瓜南直子の世界」の冒頭部分〜

 土方氏は文中で瓜南さんについて次のように評している。
 これほど物語性にこだわり、物語と絵画の一体を目指した画家は現代では珍しい。
 画家は対象を見つめることで制作の第一歩を発動させるのだが、
 瓜南さんは目を閉じ、想像の世界で言葉を紡ぐことによって絵を描き始める。
 さながら外部の世界を遮断し、内部の夢に没入することで独自の世界を描いた、
 オディロン・ルドンのように、リアリズムの対極にいる画家であった。

 石川県穴水町に生まれ、2歳のときに家族とともに東京へ移り、東京芸術大学に学んだ。
 1980年、東京芸術大学美術学部工芸科(鍛金専攻)卒業。
 30代以降は鎌倉市に定住し、有元利夫の影響を受けて日本画を基調とした絵画の制作
 を行なうようになった。
 瓜南は芥川賞作家の藤沢周、詩人の城戸朱理、文芸評論家の富岡幸一郎など地元鎌倉
 の文化人などと交流し、2012年1月に死去した日本画家の小泉淳作からは画材を遺贈
 されていた。
 上田篤を理事長とするNPO法人である「観○光(かんひかり)」の会員でもあった。
 瓜南は、漬け物づくりや料理を趣味とし、自ら「漬物道楽」と称していた。 


 作家名   瓜南 直子(かなん なおこ)
 タイトル   魚座
  ※出品作は『瓜南直子作品集 兎神国物語』に掲載されている作品(79番)で、
   作品名・制作年・サイズなど詳細が不明だったものがこれで明らかになりました。
 技法   パネルに貼付した麻布に岩絵具ほか
 サイズ   F8号 
 額サイズ   タテ52cm×ヨコ59.5cm
 サイン   画面左下にサイン、キャンバス裏と額縁裏に共シール
 状態   作品は良好。額縁は、キレイですが角の止め部分に隙間あり(前面アクリル)。 
  差し箱・黄袋
 略歴


1955年 石川県鳳至群穴水町に生まれる
1980年 東京芸術大学美術学部工芸科鍛金専攻卒
1990年 初個展
1993年 ヴェガの会(渋谷西武〜1994年)、菟の会(森田画廊〜1998年)
1996年 二人展「游神記」《伴清一郎/瓜南直子》(川上画廊)、エミナンス展(〜1997年)
1998年 なにわ会(梅田近代美術館〜2000年)
2000年 個展「仮名絵草子」(柴田悦子画廊)、月刊美術』誌上にて《寝目物語》12カ月連載(絵と文)
2001年 安田火災美術財団選抜奨励展、個展「寝目物語」同画文集刊行【ギャラリーミリュウ】
2002年 個展「けものへん」(柴田悦子画廊)
2003年 個展「けものへん PartU」(柴田悦子画廊)
2004年 個展「説話の杜」(大阪高島屋)
2005年 二人展「今昔物語」(柴田悦子画廊)
2008年 二人展「今昔物語 PartU」(柴田悦子画廊)
2009年「ざ・てわざ」展(日本橋三越)
2010年 個展「仮名絵草子」(横浜、岡山、大阪高島屋)
2011年「ART EXPO 2011 観〇光展」(泉涌寺/京都)
2012年「美術作家による震災児支援、3.11きずな展チャリティーオークション」(日本橋高島屋他)
2012年6月4日 逝去

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